【詳報①】沖縄県知事選 基地問題への対応、選挙の争点は? 立候補予定3氏座談会


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(左から)玉城デニー氏 佐喜真淳氏 下地幹郎氏

 9月11日の沖縄県知事選投開票日が1カ月後に迫る中、琉球新報社が11日に開催した立候補予定者による座談会で、現職の玉城デニー氏(62)と、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)、前衆院議員の下地幹郎氏(60)が一堂に会して初めて議論を交わした。2週間後に迎える選挙戦突入を前に、3氏とも白熱した舌戦を展開した。


基地問題

玉城氏 基地返還進め経済発展
佐喜真氏 30年までに普天間返還
下地氏 馬毛島施設へ訓練移転

 

―辺野古移設や基地負担軽減について。

 玉城デニー氏 2013年に政府に対し全41市町村長・議長など連名でオスプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖返還、県内移設断念を求めた。建白書に立ち返り、県民が一致団結して基地問題の解消を政府に迫ることが重要だ。

 基地が返還され、跡地で経済が発展することは実証済みだ。経済発展の最大の阻害要因である基地の返還を進めてこそ、経済も発展する。平和的対話と外交で周辺諸国との緊張緩和と相互信頼の構築に取り組むことが、日本が目指す安全保障の方向性だと強調したい。

 

 佐喜真淳氏 大切なのは普天間飛行場の1日も早い返還、危険性の除去・負担軽減の実現だ。県政はそれを置き去りに裁判闘争を繰り返す。県外の飛行場活用や訓練移転、工事短縮などを政府に要請し、2030年までの返還を実現したい。

 埋め立てられたところに部分移転、訓練移転も含め、危険性除去・負担軽減のためにできることを全て行うよう政府・米軍に要請したい。仲井真県政の基地負担軽減推進会議で空中給油機が岩国に移駐された。沖縄側の思いを伝えたい。

 

 下地幹郎氏 馬毛島の整備は3年以内で終わり、沖縄の訓練が全てできる施設だ。活用は当たり前のことだ。埋め立てられた場所に、オスプレイを移設する。軟弱地盤の埋め立ては必要ない。2030年まで待つ必要もない。

 台湾海峡問題、防災の観点から、普天間が経済的に活用できるのは民間飛行場だ。2千万人の観光客は那覇空港の2本の滑走路では無理だ。安全保障を考え、軍民共用として使える条件は付ける。日米地位協定2条4項bで返還させ、米軍も使える制度をつくる。
 


選挙の争点

玉城氏 県民生活向上が第一
佐喜真氏 経済危機突破を問う
下地氏 移設問題終わらせる

―今回の知事選の争点をどう考えているか。

 玉城氏 第1は県経済と県民生活だ。コロナ前は経済成長率も全国を上回る高い伸びを示し、沖縄経済は全国をけん引する発展可能性を持っている。コロナ収束を見据え、県経済の再生に取り組む。子ども施策は県政の最重要施策だ。就学援助の拡充、中学卒業までの医療費無料化、中高生バス無料化を実現した。取り組みを前進させ、20代半ばまでの若者支援も取り組む。辺野古新基地建設の反対は県民が一貫して示してきた民意であり、願いだ。引き続き全身全霊で取り組む決意だ。

 

 佐喜真氏 経済危機突破ができるか、否かが問われる選挙だ。コロナ禍で、あらゆる業種が大きな痛手を負っている。事業者支援は、全て国任せで、県が主体的に事業者の実情に耳を傾け、汗をかく姿勢は見られなかった。コロナ対応も知事の強いリーダーシップは全く見られず、軽率な行動で県民に誤解を与え、感染拡大防止ができていない。経済危機の突破を実現し、県民の命と暮らしを守り、県民の誰もが幸せを実感できる沖縄をつくる。子どもたちへの投資も大きな争点だ。

 

 下地氏 普天間基地の辺野古移設を終わらせなければならない。終わらない限り国と県の関係がぎくしゃくし、経済政策を打ち出しても成り立たない。自民党はこの10年間で1千億円近く予算をカットした。宜野湾市民は辺野古ができないと騒音も、リスクもなくならないと思ってきたが、国が2019年に馬毛島を買い上げた。訓練移転で、軟弱地盤の埋め立ては止めることができる。埋め立て反対ではなくて止める。26年間争ってきたことを終わらせ、経済政策がスタートする。
 


出席者

 玉城デニー氏(62)(現職)
 佐喜真淳氏(58)(前宜野湾市長)
 下地幹郎氏(60)(前衆院議員)

 司会 島洋子(琉球新報編集局長)

 

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