「検診に優る薬なし」 乳がん予防、早期発見で9割治癒


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 日本人女性の12人に1人が患う「乳がん」は女性にとって身近な病気だ。乳がんで命を失う人は日本全国で年間約1万人弱に上り、年々増えている。早期発見なら90%以上は治るといわれる。しかし、市町村が実施する「乳がん検診」の直近の受診率は、過去3年で県内、全国平均とも17~18%台にとどまっている。10月は乳がんの早期発見、早期治療を呼び掛ける「ピンクリボン運動月間」。生活の基盤になる健康づくりの大切さを考えたい。

 「地域保健・健康推進事業報告」を基に県がまとめた報告によると、市町村が実施する乳がん検診の受診率は、2011年度は県内18・1%(全国18・3%)、12年度は県内17・6%(全国17・4%)、13年度は県内18・6%(全国17%)。受診率は5人に1人弱にとどまっている。県は受診率50%を目標に掲げているが実態はほど遠い。
 沖縄は、精密検査の対象になった後に医療機関を受診した人の割合が全国に比べて低い。11年度以降の精密検査受診率は、全国が80%台で推移している一方で、沖縄は70%台と低迷している。
 県健康長寿課は「45歳から49歳の女性で、精密検査に行かない人が多い。仕事や家事で忙しく、自分の健康を後回しにしているのではないか」と話す。
 乳がんは「早期発見されれば怖くない病気」と言われるが、県内女性の死亡原因の1位で、75歳未満の年齢調整死亡率(13年)を見ると、10万人当たり10・9となっている。
 那覇西クリニックの上原協(かのう)医師(乳腺外科)は「40~60代で乳がんを患う人が多い。6~7割は初期のがんだが、悪化して来院する人も年間2割弱ぐらいはいる」と指摘。受診を先延ばしする背景に、経済的負担や無関心、自分は大丈夫という考え方などがあるという。
 検診には、市町村が実施する検診(40歳以上)と、人間ドック、職場を介しての「職域検診」がある。上原医師は「夫やパートナーが検診を押してほしい。検診に勝る薬はない。早く見つかれば乗り越えられる。ぜひ検診を受けてほしい」と呼び掛けた。