宮古高校3年生、サングラスで合唱 子宮頸がんワクチン副作用の級友思い


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子宮頸がんワクチンの副作用とみられる症状に苦しむクラスメートのため、サングラスを掛けて歌う生徒ら=9月25日(宮古高校提供)

 【宮古島】子宮頸がんワクチンの副作用とみられる健康被害が全国で相次いでいる問題で宮古高校(本村博之校長)では、しびれや光過敏などの症状が表れている3年の女子生徒(18)と一緒に学校行事を楽しもうと、級友たちが女子生徒も参加しやすい環境を自ら提案し、共に思い出を紡いでいる。9月の合唱祭では、屋内でもサングラスが手放せない女子生徒のためにクラス全員でサングラスを掛けて歌い、高校生活の1ページを飾った。

 女子生徒は中学2年時にワクチンを接種。次第に脱力やけいれん、睡眠障害、全身の痛みなどが現れた。高校入学後は症状が深刻化。沖縄本島や県外の病院に毎月それぞれ1回ずつ通う。体調不良から通学が難しい日が続く。
 9月25日に開かれた同校の合唱祭。女子生徒は「サングラスを掛けて登壇すると目立つかな」と初めは参加しないつもりだった。だが、女子生徒の話を聞いた磯部史帆さん(18)が「それだったらみんなでサングラスを掛けて歌ったらいい」と思い立ち、クラスメートに提案。賛同を得て、サングラス姿の生徒36人で尾崎豊さんの「15の夜」を歌った。高校での思い出がほとんどなかったという女子生徒は「みんなに感謝したい。治療の励みにしたい」と前を見据えた。
 7月にあった校内陸上の学級対抗リレーでは、走ることが禁止されている女子生徒とクラスメートが一緒に歩いてゴールを切った。座喜味一真君(17)は「僕にとっても高校生活一番の思い出になった。卒業式でも何かやりたい」と話す。同ワクチンの副作用とみられる症状が出ているのは宮古高で2人、市内では10人に上るとみられている。女子生徒は「ワクチンの問題に、もっと関心を持ってもらうきっかけになってほしい」と期待を込めた。