人型ロボ、国内外で注目 スケルトニクス 産業まつり登場


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 沖縄の産業まつりの24、25の両日には、沖縄工業高等専門学校出身の白久レイエス樹CEO(26)が代表を務めるロボット製造・販売会社「スケルトニクス」(東京都八王子市)の動作拡大型ロボットが登場する。搭乗者の動力のみで動く二足歩行の人型ロボットで、SF世界から飛び出したような外観と技術力が国内外で注目を集める。NHKの紅白歌合戦での演出協力やドバイ首長国政府への機体販売など、会社設立からわずか2年にもかかわらず知名度はうなぎ上りだ。

 ロボットのスケルトニクスは高さ2・8メートル、重さ40キロのアルミ製。基本動作には電力を使わない。複数の棒を連結するなど、構造の工夫のみで人間のスムーズな動きを拡大表現する技術力が、国内外で高評価を受ける要因だ。将来的には、装着で人間の力を補助する「パワードスーツ」などへの事業展開も視野に入れる。
 デザイン性も高い。法人化した13年10月には日本デザイン振興会のグッドデザイン賞を受賞。14年12月の第65回紅白歌合戦では歌手の氷川きよしさんの舞台演出に協力、15年2月にはドバイ首長国が機体を購入し首相オフィスに展示した。
 白久CEOは「ハウステンボス(長崎)に機体を買ってもらい、NTT東日本のCMにも取り上げられた。ライブパフォーマンスでいかに資金を稼ぐかが課題だ」と語る。
 資金造成を続けるのは、自走型の乗り物に変形できる人型ロボット「エグゾネクス」の完成を目指しているからだ。持ち運びが容易になり、アニメに登場するような変形を遂げるロボットを開発することで、活躍の場を広げる。白久CEOや技術責任者で沖縄高専時代の同級生である阿嘉倫大CTO(25)らが「ロマンを詰め込んだ」という構想だ。
 ただ構想実現には課題があった。移動のために強力な動力を持つ高価なモーターが必要になる。そこで白久CEOは「スケルトニクスをライブパフォーマンスなどの分野で事業化し、エグゾネクスを製作する資金を集めよう」と考えた。今や事業は国内外に広がり、4月にエグゾネクスの製作を開始。2016年内に公開予定だ。
 白久CEOと阿嘉CTOは沖縄高専在学時の08年、全国高等専門学校ロボットコンテストで二足歩行ロボットの機能を競う技術部門の頂点に輝いた。この経験から、ロボットで人間の動きを拡大するスケルトニクスのアイデアが生まれた。
 卒業前の10年8月にチームスケルトニクスを結成。11年2月に初号機を完成させ、現在は第5世代にまで進化した。構造を見直し、体への負担を軽減することで、当初5分だった搭乗時間を最大70分まで継続できるようにした。
 自らのアイデアの追求を続ける若きエンジニアたち。「少子高齢化により、特に介護や重作業分野で注目が集まるパワードスーツにも事業の可能性を見いだしている。世界一のスーツを目指す」(白久CEO)。世界を股に掛ける2人の活躍から、目が離せない。(長嶺真輝)

ドバイのイベントで展示されるスケルトニクス=2015年2月(スケルトニクス株式会社提供)