TPP関税即時撤廃 マンゴー、カボチャ、パッションフルーツも


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 環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意で関税が撤廃される県内農作物の全容が23日、生産者に初めて示された。パイナップル(生果)の段階的な関税撤廃に加え、県内で生産が多いマンゴーやカボチャなどが即時関税撤廃される。沖縄総合事務局が同日、浦添市伊奈武瀬の県中央卸売市場で開催した農業関係者との意見交換会で農林水産省が明らかにした。TPP大筋合意の影響について政府や県の試算が示されていない中での関税撤廃発表に、生産者の間から不安の声が広がった。

 直ちに関税が撤廃される県関係の農産物(園芸果樹分野)はパッションフルーツ(生鮮)、パパイア、ウコンなど少なくとも約15品目。パイナップル(生果)は現行17%の関税を段階的に撤廃する。
 パイナップル(缶詰)の関税撤廃について農水省は「TPP不参加国(タイ、インドネシア、フィリピン)からの輸入が9割以上を占めており、現段階で大きな影響は考えられない」と説明した。
 しかし、シンガポールのシンクタンクや海外メディアによると、今回不参加のフィリピンは、今後の参加に意欲を示している。今回の説明会参加者からも「TPP不参加国が今後、参加した場合、今回の交渉結果と同様に関税を撤廃することにならないか」と農水省の説明に疑問の声が上がった。
 パイン加工工場関係者は「生産者からの買い取り価格を上げ、やっと農家の生産意欲も回復してきた。TPP発効後は少なからず影響が懸念される。生産意欲が上がるような支援を強く熱くお願いしたい」と切実に訴えた。
 一方、沖縄協同青果の関係者は「輸入品が増加することで、取扱品目が増える。県産品が品薄になる夏場は大変助かる。デメリットだけではない」と話した。