性自認理解したケアを LGBTと医療・福祉考える


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
誰もが気持ちよく医療・福祉サービスを受けられる環境づくりを願う佐藤悠祐さん=15日、那覇市の沖縄大

 「LGBTと医療・介護を考える会」が15日、那覇市の沖縄大学で開かれた。性同一性障害であることを公表し、講演活動をしている佐藤悠祐さん=Startline.net代表、介護福祉士=が登壇し、LGBT(性的少数者)が、介護を受ける側になって直面する課題を説明した。

入浴・着替え介助、病室の割り当てなどで、自分の性自認と異なるケアを受け、葛藤を抱える人がいるとして、介護・医療分野でLGBTについて理解することの大切さを説いた。
 考える会は、保健・福祉・医療ネットワーク研究会が主催し、大学生やNPO団体、市議ら133人が参加した。
 佐藤さんは心の性は男性で身体の性は女性として生まれた。幼少時代から「自分は女の子ではない」と悩み、20歳の時、男性として生きていこうと決意した。現在、特別養護老人ホームで勤務している。
 介護を受ける側になったLGBTの人たちが「(同性の)パートナーとの関係をどう伝えればいいのか」「入浴介助で体の性がばれたとき、どんな反応をされるのか」という不安を抱いていることを報告した。
 性自認については、同性愛や両性愛のほか、男女どちらでもない「Xジェンダー」、他者に性的要求を抱かない「ノンセクシャル」を挙げた。
 質疑応答では、福祉現場で働く性同一性障害の男性が「大学時代、福祉施設に実習に行ったとき、(男性名の)通称が使えず、やりきれなかった。今の職場では入社時に、性同一性障害であることを伝えたら、出勤カードを通称にしてくれた。理解がある」と打ち明けた。
 保健・福祉・医療ネットワーク研究会事務局の島村聡さん(沖大准教授)は「介護・福祉現場でLGBTの人たちに対して、当たり前に配慮できる社会をつくりたい。学生にもLGBTへの理解を深めてもらい、学内での配慮につなげられたら」と考える会の趣旨を語った。