原告「爆音除去追求を」嘉手納・普天間訴訟で初弁論 那覇地裁 国は争う姿勢


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開廷を待つ原告ら=30日午後、那覇地裁(代表撮影)

 米軍嘉手納基地と普天間飛行場による騒音被害などを受けている周辺住民30人が、米軍機の飛行差し止めを米国に求める地位にあることの確認などを国に求める行政訴訟の第1回口頭弁論が30日、那覇地裁(藤井秀樹裁判長)で開かれた。原告側の弁護士3人が訴訟の概要について法廷で陳述し「継続する権利侵害を除去するため、司法にできることを追求してほしい」と訴えた。国側は答弁書で訴えを退けるよう求め、争う姿勢を示した。

 米軍機の飛行差し止めなどを求めて係争中の「第4次嘉手納爆音訴訟」と「第3次普天間爆音訴訟」が連携し提訴した。弁護団によると、米軍機の騒音被害を巡って異なる基地の周辺住民が一緒に訴訟を起こすのは、全国初。これまでの爆音訴訟の判決では、騒音の違法性を認める一方で、飛行差し止めについては、米軍施設の運用は日本の法の支配が及ばないとした「第三者行為論」によって退けていた。

 今回の訴訟では、被害防止の抜本的な対策をせず、爆音を放置している国の違法性を問う。30日の初弁論で、原告側の仲西孝浩弁護士は、第三者行為論などにより裁判で飛行差し止めを求められない状態にあるとし「裁判を受ける権利を制約することは、何十年も被害が続いている現在においては違憲というべきだ」と述べた。

 続いて島袋元弁護士が、日本の航空法に基づいて米軍機を管制することは可能だと主張。西晃弁護士は「深刻な爆音被害に苦しむ原告に対し、国は権利を保護すべき義務を負う」などと指摘した。

 原告は、北谷町、嘉手納町、うるま市、沖縄市、読谷村、宜野湾市、北中城村の7市町村の40~80代。国が定めた騒音コンター(分布図)で、うるささ指数(W値)75以上の区域内に住んでいる。