沖縄・西表島の5カ所、観光客立ち入り人数制限へ 環境省がエコツーリズム全体構想を認定


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
国内最大級のマングローブ林が広がる浦内川の河口付近=2021年7月10日、西表島の浦内川(西銘研志郎撮影)

 【竹富=西表島】環境省は7日、沖縄県竹富町がエコツーリズム推進法に基づき、関係省庁に提出していた「西表島エコツーリズム推進全体構想」を認定した。認定に伴って世界自然遺産登録地である竹富町西表島の特定区域内の、1日当たりの立ち入り人数を法的に制限できる。運用が始まれば国内2例目と見られる。

▼【写真あり】入域客を抑制し環境負荷の軽減図る 竹富町西表島の取り組み

 今回の認定で、観光など人的活動により損なわれる恐れがある自然観光資源である「特定自然観光資源」への立ち入り人数を制限できる。

 特定自然観光資源は①ヒナイ川(1日上限200人)②西田川(同100人)③古見岳(同30人)④浦内川源流域(同50人)⑤テドウ山(同30人)―の5カ所。立ち入りには事前に町長に申請し、承認を得るなどの条件がある。違反した場合は、エコツーリズム推進法に基づく罰則もある。町によると、観光客への周知などもあるため、制限の開始時期は現時点で未定だ。

 町自然観光課の通事太一郎課長は取材に「立ち入り制限を法的に担保することで、実効性を持った観光管理ができるスタートラインに立った。質の高い観光を目指していきたい」と話した。

 一方、県内では、慶良間諸島周辺の渡嘉敷村と座間味村の海域に広がるサンゴ礁などの保全を目的として、2012年に「慶良間地域エコツーリズム推進全体構想」が承認されている。その後、運用はされておらず、指定海域への立ち入り人数制限などをめぐって、ダイビング業者や両村、環境省などと協議を重ねているという。

(西銘研志郎、金城実倫)

【関連記事】

▼【写真特集】世界自然遺産!やんばる、西表の生き物たち

▼【ルポ】山と海が一体となり豊かさ育む西表島

▼自然環境の保全と観光、どう両立?考えるべき課題は 沖縄・奄美世界自然遺産登録から1年

▼オーバーツーリズム再燃に備え 沖縄が北海道に学ぶ観光との両立

▼アオウミガメが増加、希少な海草が全滅の危機 沖縄・西表島で食害深刻