「子の貧困」奨学金など施策要望 検討会が県に提言書


この記事を書いた人 志良堂 仁
子どもの貧困対策推進計画に盛り込むべき施策などについての提言書を翁長雄志知事(左)に手渡す山入端津由会長=2日午後3時45分、県庁6階知事応接室

 子どもの貧困対策を総合的に推進する5年計画「県子どもの貧困対策推進計画(仮称)」策定に向け、有識者らでつくる「県子どもの貧困対策に関する検討会」の山入端津由会長(沖縄国際大学教授)が2日、計画に盛り込むよう求める施策の提言書を翁長雄志知事に手渡した。高校、大学の給付型奨学金の創設や児童館の増設、学童保育の減免などを盛り込み、具体的な数値目標の設定を求めている。

 提言書は(1)教育(2)生活(3)保護者の就労-など項目ごとに支援策をまとめた。教育支援では、就学援助の申請期間の延期など利用しやすい仕組みづくり、中学卒業や高校中退の子どもが学び直すための入学試験のない公立高校などを求めた。生活支援は、就学前の支援として福祉制度に精通した育児支援コーディネーターや、子どもと学校や地域などをつなぐコーディネーターの配置-などを求めた。
 山入端会長は「構成員それぞれの専門的立場からの具体的な意見を計画にできる限り反映してほしい」と語った。翁長知事は「しっかり計画を立てていきたい」と話した。県は12月にまとめる貧困実態調査の結果も踏まえ、年内に計画の素案を作成。パブリックコメントを経て3月にも決定し、来年度から実行する。
 手交式に出席した各委員も要望を伝えた。比嘉昌哉沖国大准教授は「必要なところに必要な予算を配置し、財政的裏付けをしてほしい」、上原雅志島尻教育研究所所長は「小学校低学年からの学習の積み残しを防ぐため、学校現場の人材確保が必要だ」、山内優子沖縄子ども貧困解消ネットワーク共同代表は「計画を実行に移すための専門のチームを組んでほしい」などと求めた。児童養護施設で育った経験がある金城さや佳さんは「子どもに寄り添う支援で自己肯定感を育ててほしい。育った環境により将来が限定されることがないようにしてほしい」と訴えた。