10代と10歳未満のコロナ関連死、沖縄県が初公表 「遺族の了承得ず」も公表に踏み切った理由


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 沖縄県保健医療部の糸数公部長は6日、県庁で記者会見を開き、今年に入って新型コロナ感染後に10代と10歳未満の小児の2人が亡くなっていたと発表した。10代以下の死亡例を公表するのは初めて。糸数部長は「若年者でも状況によっては重症化や、死亡する事例がある。年代にとらわれず、感染対策とワクチン接種をしてほしい」と呼びかけた。

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 6日時点でコロナ関連死は計881人。発表された小児2例は、これまで遺族の意向で非公表としていた計17例に含まれていた。糸数公部長は、非公表としていた小児2人の新型コロナウイルス関連死亡例の一部情報開示について、「遺族の了承は得ていない」と明らかにした。「遺族からは一切公表してくれるなとの希望は変わらなかったので、県からのアプローチは難しいと判断した」と、県独自で決めたという。

 小児2人は2022年1月以後に亡くなり、非公表として発表されている。今回の公表は若年者への感染対策の呼び掛けを目的としているが、10代の小児は「新型コロナが直接的な死因ではないが、関係がないわけではない」と述べるにとどめた。10歳未満の小児は基礎疾患があり、感染によって病状が悪化したという。

 公表の意義について、糸数部長は「非公表のままでは10代以下の死亡がないことになる。公衆衛生や統計学的にも県民に伝える必要がある」と説明。公表に向けた議論の中で、小児医療に関わる複数の専門家から「啓発するべき」との意見があったという。

 遺族の了解なく一部情報を発表したことに糸数部長は「(悲しみを)想起させることは心苦しいが、プライバシーに近づかないよう配慮した」と説明した。

(嘉陽拓也)
 

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