津堅出身で初の夫婦でカジマヤー 西原盛吉、ツネさん


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津堅島では初めて夫婦そろってカジマヤーを迎えた西原盛吉さんとツネさん(中央)=10月31日、うるま市田場のニュー三和

 【うるま】津堅島出身では初めてとなる夫婦そろって97歳を迎えたカジマヤー祝いが10月31日、うるま市田場のニュー三和で開かれた。西原盛吉さんとツネさん夫妻は、仲むつまじくこの日を迎えた。子ども、孫、ひ孫らが勢ぞろいした祝いの席に臨み、家族の姿をほほ笑みながら見詰めた。

 西原さん夫妻は津堅島でニンジン生産など90歳まで農業に従事してきた。農閑期には漁業に精を出し、8人の子を育て上げた。次女の幸良茂子さん(65)=同市田場=は「子を育てるために必死に働いていた姿を覚えている」という。
 西原さん夫妻は現在、津堅島を離れて三女の仲宗根克枝さん(61)と共に生活を送る。幸良さんは「生まれ島から父と母を本島に連れて来ることは、きょうだいでも断腸の思いだった。でも今は孫らも頻繁に訪ねることができ、両親の表情にも張りが出てきた」と喜ぶ。
 盛吉さんは17歳で満州で捕虜になり、シベリアに3年間抑留されるなど時代の荒波にもまれる人生を送った。その分大抵のことには動じず、シベリアで助け合いながら生きてきたこともあり、人を大切にすることを家族に説いたという。
 盛吉さん、ツネさんとも働き詰めの人生を送り、今は耳も遠くなるなど老化の兆候もある。「介護が大変と思うこともある。それでも島で両親と過ごした記憶、風景が脳裏によみがえると、つらさもなくなり、心穏やかになれる」と幸良さん。
 両親が祝いの日を元気に迎え、仲宗根さんは「父は自分のことは自分で頑張ってきたことが長寿につながったと思う。母は若いころ経済的に苦労しながら、懸命に働いた。今はデイケアが元気の源。そして何より、津堅島の地域の人に支えられた」と話した。
 祝いの席は、150人近い親類らに囲まれ、盛吉さん、ツネさんとも一族の繁栄に喜びの表情。孫らの余興の数々に目を細めた。