「遺骨見つけたい」 戦没者DNA 遺族、早期鑑定望む


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ガマフヤーの具志堅隆松さん(右端)の聞き取り調査を受ける(写真左から)真喜屋サダさん、大上幸子さん、儀武スミさん、座波治子さん=那覇市

 厚生労働省が年度内にも沖縄戦を含む戦没者の遺骨のDNAをデータベース化する方針を示していることで、県内の遺族らは「戻ってこなかった兄弟の遺骨を早く見つけたい」とDNA鑑定による遺骨の同定に期待を募らせている。真喜屋サダさん(89)=豊見城市=と座波治子さん(85)=那覇市=姉妹は、沖縄戦など70年前の戦争で、出兵した男きょうだい4人を失った。「男きょうだいがみんないなくなり苦労した。私たちも国の犠牲者。せめてきょうだいの遺骨を墓に納めたい」と早期の鑑定を求めている。

 遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「県は、DNA鑑定を望む遺族の声を国に届けてほしい」と、県が積極的にDNA鑑定の実施を政府に働き掛けるよう求めた。
 真喜屋さんは男4人女4人の8人きょうだい。長兄儀武直政さんはニューギニアで、次兄直実さんはボルネオで、三兄直隆さんは中国で戦死。四兄直義さんは大里で戦死した。4人とも空の箱が戻ってきただけで、古里の名護市久志の海岸で拾った石化したサンゴを箱に入れ墓に納めた。
 真喜屋さんは何とか遺骨を見つけたいと具志堅さんに連絡を取り、直義さんの所属部隊を確認した。さらに遺骨のDNA鑑定の対象が拡大されるのを知り、早急な鑑定実施を希望している。「私たちのように、遺骨を待っている遺族はたくさんいるはずだ」と話す。
 ニューギニアで戦死した直政さんの長女大上幸子さん(78)=那覇市=と義理の娘儀武スミさん(77)=同=も「父の骨も見つけたい」と、国外での遺骨収集とDNA鑑定にも期待した。
 DNA鑑定について、厚生労働省は「今年度中の実施を目指している」とする一方で「まだ実施時期や、対象となる地域をどこにするかなどは決まっていない。どういうふうに鑑定を実施するか検討中だ」と述べるにとどめている。県子ども生活福祉部によると、県内には約600の遺骨が保存されている。
(岩崎みどり)