軍隊の性暴力問う 作家ら「慰安婦」の苦悩伝え


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「慰安婦」問題についてそれぞれの取材経験を語る(奥から)金平茂紀さん、川田文子さん、山城紀子さん=8日、糸満市摩文仁の県平和祈念資料館

 【糸満】オランダの写真家ヤン・バニング氏の写真展「Comfort Women―インドネシアの日本軍『慰安婦』」(同実行委員会主催)が7日から、糸満市摩文仁の県平和祈念資料館で始まっている。

8日、オープニングシンポジウムが開かれ、ノンフィクション作家の川田文子さん、テレビジャーナリストの金平茂紀さん、フリーライターの山城紀子さんが登壇。「慰安婦」問題に関わるそれぞれの取材経験を語った。
 川田さんは、朝鮮半島から渡嘉敷島の慰安所へ連れて来られ、戦後も亡くなるまで沖縄で暮らしたペ・ポンギさんに長期間取材した。PTSD(心的外傷後ストレス障害)による頭痛で苦しむペさんの表情を「人間の顔がこんなにゆがむのかと思った」と振り返る。日本軍がフィリピンなどでも組織的な性暴力を行ってきた事実について「当時の国際法や刑法にも違反していた。日本の人権感覚が問われる」と強調した。
 金平さんは、1995年の米兵による少女乱暴事件に言及し「『慰安婦』問題は過去ではなく現在につながる問題だ」とし、「軍と慰安は不即不離の関係にある」と指摘した。
 山城さんは、2000年に東京で開かれ、性暴力の被害者らが体験を語った女性国際戦犯法廷を取材。慰安所で経験した痛々しい証言や、加害側の日本兵の証言を紹介した。現在、教科書で「慰安婦」問題の記述がなされていない点について「『慰安婦』の方々が『若者に伝えてほしい』と訴えているが、学生たちは『慰安婦』問題について全く知らない。日本は責任を果たせていない」と語気を強めた。