ケラマジカ、海渡る 雌ジカ求め移動? 小嶺さん撮影成功


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【渡嘉敷】国指定の天然記念物で慶良間諸島に生息する野生のケラマジカの雄ジカ1頭が2日午後3時ごろ、渡嘉敷港南海岸から約300メートル対岸の儀津岬海岸道路へ泳いで渡る光景が見られ、村役場職員の小嶺公志さんがカメラに収めた。

 港内の海を泳いで横断する体長約1メートルで立派な角を持った雄ジカは、3年ほど前から住民らから目撃情報が寄せられており、この日も出港前のフェリーとかしきの船員や乗客も珍しいシカの泳ぎを楽しんだ。
 撮影に成功した小嶺さんは「昨年も動画撮影に成功した。シカは泳ぎがとても達者。波しぶきを上げ、15分ほどで渡り切った」と満足げ。ケラマジカの生態に詳しい住民は「この時季はシカの繁殖シーズンだ。雌ジカを求めて島内を移動し、集落を通らずに港内を泳いで移動したのではないか」と話した。
 渡嘉敷村の野生ケラマジカは昭和の初めごろまで数多く生息し、農作物被害が多発したため捕獲され、一時全滅したという。
 座間味村に数多く生息しており、渡嘉敷島に泳いで海を渡る姿を漁師らがたびたび目撃しており、1990年10月に地元住民が撮影に成功した。5年ほど前に渡嘉敷村でも子ジカ連れの雌ジカを発見したという情報もあり、ミーニシが吹き出す秋から冬にかけ、島内でも頻繁に人里にも雄ジカが姿を見せる。
(米田英明通信員)
英文へ→Kerama deer swims across sea searching for a mate

港内を泳ぐケラマジカ=2日(渡嘉敷村商工観光課提供)
港内を泳ぐケラマジカ=2日(渡嘉敷村商工観光課提供)
北側海岸にたどり着いたケラマジカ=2日(渡嘉敷村商工観光課提供)