立憲主義、沖縄で再生 日弁連がシンポ 「新基地」多角的に議論


この記事を書いた人 田盛 良一
新基地建設問題について議論する(右から)元沖縄タイムス論説委員の屋良朝博氏、高作正博関西大教授、島袋純琉球大教授、日本自然保護協会の安部真理子氏ら=14日、那覇市

 日弁連と沖縄弁護士会、九州弁護士会連合会は14日、那覇市久茂地のタイムスホールで米軍普天間飛行場名護市辺野古移設に伴う新基地建設問題をテーマにしたシンポジウム「民主主義における自己決定と地方自治」を開いた。日弁連が地方でシンポジウムを開催するのは異例。約350人(主催者発表)が参加した。新基地建設問題をめぐるパネルディスカッションでは自治権の確立や辺野古埋め立て承認の取り消し理由として挙げられている環境保全策、新基地建設の必要性などを議論した。

 パネルディスカッションで登壇した島袋純琉球大教授は地方分権の流れから、民意に沿って承認を取り消した翁長雄志知事の判断を評価。「新基地が造られると日本の立憲主義が崩れる。立憲主義を沖縄で再生させる時期に来ているのではないか」と強調した。
 高作正博関西大教授は国が行政不服審査法を用いるなど法律を都合よく解釈していることに、判例を挙げながら「もはや法治国家ではない」と批判。工事を止めるために県が国を提訴できる可能性も示した。
 埋め立て承認における環境保全策について、日本自然保護協会の安部真理子氏は住民や専門家や意見が十分に反映されていないなどと指摘した。元沖縄タイムス論説委員の屋良朝博氏は在沖米海兵隊の活動範囲や内容などを示して、辺野古に基地を建設する必要性の乏しさに言及した。
 記念講演した新崎盛暉沖縄大名誉教授は、戦後日本の安全保障政策の変化に伴う沖縄の基地負担増大の過程を振り返りながら、新基地建設問題に向き合う意義について語った。
 会場はほぼ満員で熱気に包まれた。看護師の松田和枝さん(59)=那覇市=は「解決することの難しさも感じたが、家族ときょうの内容を共有し、話し合いたい」と述べた。公務員の宮里正秀さん(60)=宮古島市=は「基地問題と自己決定権、法律問題が一つにつながった。それぞれの地域や職場で県民一人一人ができることをしていくことが大切だとあらためて感じた」と話した。