創作民話劇で平和発信 あすから「沖国祭」


この記事を書いた人 田盛 良一
沖国祭に向けて入念にリハーサルを行う沖縄国際大学日本文化学科1年の学生ら=18日、宜野湾市の同大

 沖縄国際大学日本文化学科1年の学生117人は21、22の両日、宜野湾市の同大で開かれる「沖国祭」で渡嘉敷島を舞台とした創作民話劇「鬼慶良間」を上演する。劇は沖縄戦で「集団自決」(強制集団死)に追い込まれそうになった島民が、島の伝説的英雄・鬼慶良間の教えを思い出し、踏みとどまる内容だ。学生らは「戦後70年の節目の年に、『命どぅ宝』のメッセージを精いっぱい伝えたい」と意気込んだ。21日は午後4時半、22日は午後1時に開場する。入場は無料。

 作品は沖縄の民話の収集や研究をした故遠藤庄治・沖国大名誉教授が脚本を手掛け、全3幕で構成した。鬼慶良間を演じる内嶺有梨沙さん(18)は「鬼慶良間は争いを好まず、島の人のために動く。彼の言葉を観客に伝えたい」と語る。
 学祭での上演は日本文化学科の1年生が毎年実施している。演者だけでなく、照明や衣装、大道具の準備など全て学生が手掛ける。経験者がほとんどいない中での取り組みだが、せりふに込められた思いを伝えるために戦争体験者から話を聞いたり、佐喜真美術館などを訪れたりするなど、一人一人がよりよい劇にしようと取り組んだ。
 総合演出を務める安田雪乃さん(19)は「劇を見る人には70年前にあった戦争の残酷さを知ってもらいたい」と思いを語る。「主役だけではなく、一人一人のせりふが鍵となるから、全員の顔が見えるような舞台にした。(劇が成功する)自信はある」と力を込めた。村の祭司の役で出演する石川由莉さん(18)は「ことししか見ることができないオンリーワンの劇にしたい」と意気込んだ。