意思疎通の権利を尊重 県手話条例、議員提案


この記事を書いた人 志良堂 仁

 県議会で議員提案の「手話言語条例(仮称)」制定を目指す検討委員会(委員長・呉屋宏県議)の条例のたたき台(素案)が30日判明した。たたき台は、手話を言語と認識し、手話が使いやすい環境を整備し、聴覚障がい者の意思疎通の権利の尊重を基本理念に位置付けた。さらに県民に手話を学ぶ機会の確保や、聴覚障がい者が通う学校に手話教育の環境整備を求めることも盛り込んだ。ただ当事者団体からは具体的活動の明記を求める声も上がった。

 たたき台の前文は、沖縄戦や米国統治、日本復帰などの歴史の中で「手話を使うことが制約されてきた」と指摘した。その上で、手話を言語とする障害者基本法の理念も踏まえて「県民に広くろう者と手話への理解を広め、互いに理解し共生する社会を目指す」としている。
 検討委は30日、難聴の当事者団体や聴覚障がい児を持つ親でつくる関係団体らと意見交換した。団体からは「手話以外にも要約筆記など耳に障がいがある人が使う言語はあるが、条例で触れられていない」「具体的に誰がどのような活動をしていくのか明記すべきだ」などの意見が上がった。
 検討委は来年の2月定例会に議員提案したい考えだが、委員会と団体との意見の相違が出たことで「2月の制定にこだわらず中身をあらためて議論してほしい」との意見も出た。
 たたき台は、全日本ろうあ連盟が提示する「県のモデル案」や、既に制定した鳥取と神奈川、群馬の条例を参考に作成された。