きょう辺野古代執行訴訟第1回弁論 知事、意見陳述へ


この記事を書いた人 田盛 良一

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設をめぐり、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しの撤回を求め、国土交通相が提起した代執行訴訟の第1回口頭弁論が2日午後2時、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれる。基地問題で県と政府が法廷闘争に入るのは20年前の代理署名訴訟以来2度目。口頭弁論では翁長知事が意見陳述する。知事は沖縄の過重な基地負担の現状や歴史を説明する。その後、弁護団が取り消しの理由とした法的瑕疵(かし)を説明する。

 国側は、国防や外交は埋め立て承認に関する知事判断の裁量外などとして、前知事の承認に瑕疵はないと主張する。承認取り消しで「多大な不利益」が生じるとして、仮に承認に瑕疵があっても取り消しはできないと主張する。
 県側は県民の同意なき新基地建設の強行は憲法が保障する地方自治を侵害するとして「違憲だ」と訴える。国による代執行は他に解決策がない場合に認められるとし、訴え自体の却下も求めている。
 県は、過重な基地負担を背負う沖縄に新基地を造る理不尽さや、国が移設計画の根拠とする抑止力論、地理的優位性論にも踏み込んだ審理を求める。県の主張を網羅的に訴えることで、世論にも働き掛ける狙い。
 翁長知事は1日に裁判所に提出した陳述書で「普天間基地の原点は戦後、住民が収容所に入れられている時に土地を強制接収されたことだ」と訴えた。また前知事による埋め立て承認の1カ月前には、県環境生活部が生活環境と自然環境の保全に「懸念が払拭(ふっしょく)できない」と指摘した点や、第三者委員会が承認に瑕疵があったと報告した点を挙げ、承認の取り消しは正当だと主張した。県は第2~第6準備書面も提出した。