伊良部島内消費が激減 大橋開通余波、観光にも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【伊良部島=宮古島】1月に伊良部大橋が開通した伊良部島で、島民の島内消費が軒並み大幅に減るなどの影響が出ていることが、宮古島市伊良部商工会の調査で分かった。開通前から懸念されていた市中心部に買い物客が流れ、周辺地域が寂れる「ストロー現象」が浮き彫りになった。観光面でも観光客の消費が伸び悩み、通過型観光に陥る懸念も示された。

 伊良部商工会がJTB総合研究所に委託して9~10月に実施した「伊良部島観光マーケティング調査」で分かった。
 島民100人へのアンケートによると、食料品について開通前は80・9%が島内で買い物していたが、開通後は38・2%に急減した。外食先は開通前、島内が50・4%と過半を占めたが、開通後は27・5%に減り、灯油、ガソリンも開通前の87・0%から開通後は64・1%へ約20ポイント減るなど、生活必需品での減少幅が大きかった。
 島外消費を増やした理由として、価格や品ぞろえを挙げる意見が70%を超えた。店舗の集中や複数店からの選択ができるといった利便性を上げる声も半数を占めた。
 伊良部島を訪れた観光客300人を対象にしたアンケートでは、130人が島内で土産物の購入や食事など一切の消費をしていなかった。
 伊良部島での観光先は伊良部大橋や渡口の浜や通り池など無料で見られる自然景観がほとんど。滞在時間は半数以上が3時間未満だったほか、宮古島市の宿泊者のうち伊良部島への宿泊者が10%に満たないなど、観光客を島内にとどめる取り組みに弱さが見られた。
 一方、伊良部観光の改善点としてレストランやカフェなど増設を求める声が25%寄せられた。市は「伊良部地区観光地整備総合計画」の策定を進めている。「消費の流出などは認識しており、これらを踏まえた活性化策を話し合いたい」と語った。