「チーイリチャー」名物に タコライスに続け 金武の味


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黙々とチーイリチャーを食べる金武町民の(左から)仲間寛人さん、幸喜和斗さん、植村元治さん。植村さんは5分で完食した=4日、金武町の久松食堂

 【金武】金武町民が県内市町村の中でチーイリチャー(豚の血炒め)をより多く食べていることがこのほど、金武町立図書館の金城明美係長らの調査で分かった。金武町民だけが平均して年2回以上食べていたという結果で、町民からは「(こんなに食べるのは)金武町だけだったんだね」と驚きの声が上がった。調査班は町内の国道329号を「チーイリチャー街道」として宣言をすることで、タコライスに続く町の名物化を提案している。

 チーイリチャーは豚肉や野菜を豚の血で炒め煮た料理で、白米にかけて食べることが多い。同町金武区と並里区を通る国道329号では、約1・5キロの間にチーイリチャーを提供する店が少なくとも5軒連なる。地域行事や祝い事でもよく食べられているという。

 県経営者協会が主催する「かりゆし塾」の一環で10月19日、チーイリチャーを切り口にした地域活性を目的に調査班「血ぃGO!GO!」の9人が発表した。8、9月に国頭、大宜味、東、今帰仁、恩納の5村を除く本島内の市町村に、宮古島市、石垣市、久米島町を加えた25市町村、527人を対象に調査した。

 住民が平均して年1~2回程度食べるのは石垣市、久米島町、宜野座村、本部町、うるま市石川の5地域で、他市町村は年1回未満だった。県全体で「チーイリチャーを食べたことがある」と答えたのは20代で36・0%、60代で63・6%だった。「食べたことがある」人のうち、金武町以外に住む人でも「金武町内で食べる」と答えた人が約15%いたという。

 金城さんらは地域で聞き取りをした結果を踏まえて、金武町の食頻度の高さについて「出身移民が多く、戦後すぐに海外から豚を送る支援があり養豚業が復活でき、戦前の食文化が受け継がれたため」と分析している。

 約45年前からチーイリチャーをメニューにしている久松食堂が人気の立役者だ。客の7~8割がチーイリチャーを注文するという。2代目の宜野(よしの)智代表(53)は「30代後半以降の年代は『金武といえばチーイリチャー』との感覚がある。地元のソウルフードだ」と語る。

 10日に1回は食べるという比嘉覚さん(53)=金武町=は「皿もなめたいぐらい好き。いくらでも食べたい」と“チーイリチャー愛”を語った。(長浜良起)