係争委、県申し出却下 辺野古効力停止「審査対象該当せず」


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
埋め立て承認取り消しの効力を停止した国交相の決定の適否を審査する係争処理委員会の第3回会合=24日午後5時、総務省

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画をめぐり、辺野古埋め立て承認取り消しの効力を停止した石井啓一国土交通相の執行停止の適否を審査する第三者機関の国地方係争処理委員会(委員長・小早川光郎成蹊大法科大学院客員教授)は24日夕、第3回会合を総務省で開き、委員間の多数決により、県の申し出を却下した。国の関与から地方自治体を保護するために設置された係争処理委がその役割を果たさなかった格好だ。県はこの決定を不服として司法機関の審査を求め、地方自治法に基づき、国交相を高裁に訴えることを検討している。

 会合後の会見で、小早川委員長は「国交相の判断は一見不合理であるとは言えず、係争処理委員会の審査対象に該当するとは認められない。本件の適法性を議論した結果、最終的に不適法で却下すべきものとした」と県の申し出を却下した理由を説明した。
 会合は非公開で、24日午後5時から25日午前0時ごろまで約7時間続いた。関係者によると、委員間で法律的な議論が繰り広げられていた。
 国交相の決定が審査対象である「国の関与」に該当するかを判断するため、係争処理委は2回にわたり、県知事と国交相双方に質問を出し、それぞれが係争処理委に回答していた。処理委は11月13日、12月4日の2回の会合では審査対象とするかの判断を先送りにしていた。
 石井国交相は10月、行政不服審査法に基づいて沖縄防衛局の申し立てを受け、翁長知事の埋め立て承認取り消しの効力を一時停止する「執行停止」を決定した。翁長知事は11月2日、決定は違法だとして係争処理委に審査を申し出た。地方自治法に基づき、係争処理委は来年1月31日までに結論を出すことになっていた。
 翁長知事の埋め立て承認取り消しの効力を止めた石井国交相の執行停止をめぐり、県は国地方係争処理委員会への審査申し出とは別に、執行停止の取り消しを求めて抗告訴訟の提起を予定している。