精神障がい、労災に 県内男性の訴え認定


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 運送業で働く県内の男性(56)が長時間労働や職場の人間関係の悪化による精神的苦痛を訴え、労働基準監督署から精神障がいの労働災害(労災)認定を受けた。一方で、男性が働く会社は「時間外労働に関しては指導し、作業の軽い部署への人事異動なども行った。男性の負担軽減に最大限配慮してきた」と説明している。精神障がいの労災は全国的に増加傾向にある。沖縄労働局によると、県内でも請求が増えており、ここ3年間は年3~5件が認定されている。

 男性が認定されたのはことし2月に休職した期間。療養費の給付を受けた。男性は心療内科から「重度ストレス反応」などと診断を受けている。男性は精神的苦痛の要因として時間外労働が月100時間を超えたり、上司との人間関係が悪化して暴言をめぐる民事訴訟(既に和解)となったりしたことなどを挙げている。
 会社は「時間外労働を強制したことはない。社が指示していない早出残業があったので定時に出勤するよう指導した。未払いだった残業代は組合を通して請求があり、支払った」と説明。「長時間労働ではなくパワーハラスメントによるストレスを訴えていると理解しているが、その件は民事訴訟で和解が成立している」などとしている。
 労働局によると、精神障がいの労災は2012年度は請求3件、認定5件(うち自殺による請求1件、認定1件)、13年度は請求10件、認定3件(うち自殺による請求、認定ともに0件)、14年度は請求17件、認定4件(うち自殺による請求2件、認定1件)だった。
 労働局は「請求があれば発症前6カ月間にあったトラブルなどの負荷強度が強いと認められ、業務との因果関係があるかどうかを確認する。労働時間なども含めて事実関係の確認に時間がかかり、請求から年度をまたいで支給されることもある」としている。(宮城隆尋)