高齢者の買い物、便利に 栄口区公民館 “商店”開き地域交流


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買い物を楽しむ人たち。地域の交流の場にもなっている=2015年12月18日、北谷町栄口区公民館

 【北谷】北谷町栄口区は高齢者が住みやすい地域をつくろうと毎週金曜午前、「えぐち商店」を開いている。離れた店まで買い物に行くことが困難な高齢者らのために、区公民館で米や野菜、豆腐など食料を売っている。2014年1月の開始から協力店が次々と増え、盛り上がりを見せている。最近は小さい子を連れて買い物に行きにくい子育て世代も訪れるようになった。

 栄口区から大きなスーパーまでは長い坂道を上らなければならず、買い物に苦労する人が多かったという。単に物を買うだけでなく、外出が少なくなりがちな高齢者が集まって交流を深める場となっている。
 当初から出店する砂辺とうふの代表者・久場祐三さんは「宅配する方法もあるが、お年寄りに外出してもらうことに意義がある。他の地域にもどんどん広がってほしい」と話した。
 町社会福祉協議会内の事業所「ニライの里」も手作りの弁当や精米した米を売っている。栄口区出身でニライの里に通う請蔵義輝さん(27)は「(地域で米を売ることができて)うれしい。頑張ります」と意欲を見せた。
 回を重ねるごとに幅広い世代が憩う場となり、他市町村や県外からも視察者が訪れる。栄口区を参考に糸満市武富ハイツ自治会で同様の取り組みも始まった。
 島袋艶子区長は「販売業者の皆さんはもうけを目的にせず、人とのつながりを楽しんでいる様子だ。すごく感謝している」と述べ、「子どもたちが参加する機会を設け、地域の触れ合いを生み出す活動の中心にしたい」と語った。(明真南斗)