地理的優位「根拠ない」 県、国への反論書面提出 代執行訴訟


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設をめぐり国土交通相が提起した代執行訴訟で、県は7日、福岡高裁那覇支部に第13~17準備書面を提出した。国が昨年末に提出した第3準備書面への反論を主な内容としている。沖縄の「地理的優位性」や「抑止力」維持を理由に挙げる国に対して、地理的優位性の具体的根拠がなく、沖縄に基地建設ができなかった場合に抑止力が損なわれるとする主張にも「実証的根拠を何ら示していない」とあらためて批判した。

 国は埋め立てを承認するかどうかの判断について、知事にはそもそも国防・外交の観点から審査する権限はないと主張している。
 第3準備書面では沖縄が南西諸島の中央にあり、北東アジアの潜在的紛争地域から「近い」が「近すぎない」距離にあるため地理的優位性があると主張。沖縄に普天間飛行場の代替基地を造ることは「合理的」としている。
 県は今回提出した第17準備書面で、国の書面では国防の観点からロシアの存在が触れられていないことを挙げながら「日本の安全保障は、南西だけの問題ではない」と主張した。「近い(近すぎない)」との概念は検証不能で「詭弁(きべん)としかいえない」などとも指摘した。