「龍正の分も生きる」亡き友へメッセージ 松城中28期生成人式


この記事を書いた人 田盛 良一
大嶺龍正さんの遺影を掲げる松城中28期生と大嶺さんの祖母・国吉和美さん(2列目右から2人目)=10日、那覇市立松城中学校

 那覇市立松城中学校の体育館で10日に開催された28期生(卒業生124人)の成人式で、宮崎県の小林西高に野球部特待生として進学したものの、1年生の2011年5月に急逝した大嶺龍正(りょうま)さん(享年15)の遺影が同級生の胸に掲げられた。会場に招かれていた大嶺さんの祖母・国吉和美さん(53)を突然舞台に上げた後、同級生らは龍正さんへのメッセージを読み上げた。「夢を追っていた龍正はヒーローだった。みんな頑張って龍正の分まで生きていく」と誓った。

 小林西高に進んだ大嶺さんは将来のエース投手として活躍を期待されていた。ところが11年5月に寮で髄膜炎の集団感染が起き、13日に頭痛や吐き気などの症状を訴えた龍正さんも病院に搬送されたが、この日に亡くなった。
 壇上で大嶺さんへの手紙を読んだ我那覇瑞生(みずき)さん(20)は中学で同じ野球部員だった。声を詰まらせながら「みんな成長したと思うけど、どう見えるかな。夢に走っていた龍正が死んで悔しい。みんな一生懸命生きていくから」と大嶺さんに語り掛けた。
 式に誘われた国吉さんは当初、出席をためらった。「本音は参加することが怖かった。だけど今は勇気をもらい、感謝の気持ちだ」。この日は仏壇に中味汁、お酒を飾り、大嶺さんの成人の日を祝った。式典では同級生が大嶺さんとの思い出の写真も贈った。「この写真も飾りたい」。そう語る国吉さんは涙を拭い、大嶺さんの遺影を手に同級生らとの記念撮影に笑顔で臨んでいた。