比謝川から規制物質 米軍「飲み水安全」と基地内通知


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北谷浄水場などから化学物質が検出された問題で、米太平洋空軍が基地内向けに安全を通知した文書

 米空軍嘉手納基地周辺の比謝川などから国内で使用が禁じられている化学物質の有機フッ素化合物(PFOS)が高濃度で検出された問題で、米太平洋空軍が基地内向けに「飲み水は安全」などと通知する文書を出していたことが26日分かった。基地内で現在PFOSを使用しているかどうかは言及していない。県企業局が使用履歴などを照会しているが26日現在、米軍から回答はない。

 通知文は「企業局と嘉手納基地の専門家は、北谷浄水場で供給される水を飲んでも安全だということに同意した」と記している。これに対し平良敏昭県企業局長は「同意したことはなく、話し合ってもいない。読む人は誤解を受ける」と事実とは違うと強調した。その上で「県民の飲み水を預かる企業局として、県民が信頼しなければ安心とは言えない」と話した。
 文書は24日付でA4用紙2枚。企業局が嘉手納基地内を通る川などからPFOSを検出したことを伝え、基地内の生活者や労働者向けに「嘉手納基地は飲んでいる水が安全だと保証する」とうたっている。PFOSが「汚染物質と考えられている」と述べる一方、北谷浄水場から検出された値が「最大で1リットル当たり80ナノグラムで、米国の暫定健康勧告値の200ナノグラムより低い」としている。
 さらに文書は「PFOSは油や水をはじくため洋服やじゅうたん、家具、食べ物の包装などに使われている」「1970年以降に工業や空軍で使用される消火器からも見つかっている」とも記している。
 米軍の「安全」通知に対し、平良局長は「安全と言っても垂れ流していいのか。原因を作ったのは米軍の可能性があり、当事者意識に欠けているのではないか」と批判した。