2型糖尿の発症 遺伝子情報特定 琉大など研究チーム


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(上から)前田士郎教授、今村美菜子准教授

 琉球大学大学院医学研究科の前田士郎教授、今村美菜子准教授と理化学研究所、東京大学の共同研究チームは、2型糖尿病の発症に関わる七つの遺伝子領域を発見したと発表した。さらに治療薬との関係を調べたところ、がんやリウマチなど糖尿病とは別の治療用として開発中の薬も糖尿病に効く可能性があることを突き止めた。日本の糖尿病患者の9割は2型糖尿病とされ、今回の発見は、治療法開発や新薬開発につながるものとして期待される。

 前田教授らは、日本人4万人以上を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施。日本人集団のみを対象とした糖尿病の遺伝子解析では最大規模となる。人のDNA情報は30億の塩基の配列で作られており、その配列の99・7%は全人類で共通だが、0・3%は個人差がありそれをSNP=スニップと呼ぶ。研究ではSNPに着目し、2型糖尿病患者1万5463人と非患者2万6183人のSNPを解析した結果、七つの遺伝子領域を特定した。
 今回対象となった4万人の遺伝子サンプルには沖縄県民のサンプルは含まれていない。前田教授は「島しょ圏の沖縄は独特の遺伝背景があり、生活習慣病の罹患(りかん)率も高い。今後は県民を対象にした遺伝子解析を行い、沖縄の健康長寿復活に貢献したい」と話した。