連載「希望この手に」反響続々 貧困、厳しい現状に衝撃


この記事を書いた人 志良堂 仁

 経済的に厳しい状況にある子どもの実情を伝えた「希望この手に 沖縄の貧困・子どものいま 第1部」には、読者から多くの感想が寄せられた。子どもたちが置かれている厳しさを「初めて知った」という驚きや、困窮の状況にある当事者から「現状を伝えたい」との声が届いた。「貧困の背景を知りたい」という声も多かった。一方で「親の怠慢だ」とする「自己責任」の指摘もあった。

 70代の男性は「私の周りでこんな貧困の家庭は聞いたことがない。本当なのか」と驚いた様子。「スーパーでは毎日、売れ残った食べ物が大量に捨てられている。その一方で貧困があることに矛盾を感じる」と話した。
 1人で4人の子を育てたという40代の女性は、ひとり親世帯について「支援を受けずに困っている人も多い。希望を失い、孤立していくパターンがある」と訴えた。役所の窓口には「相談してください」とあったが、踏み込んだ話をできなかった経験を振り返り「今の状況では自分で情報収集する気力の持てない人たちを救えない」と話した。
 「生活保護レベルの厳しい環境で育ったから、人ごととは思えない」と話す50代の男性は「私も勉強の意義を見いだせず、成績も悪かった。たまたま恩師と出会って広い視野を持てるようになった」と経験を話した。
 連載では、困窮しながらも遊技場や酒にのめり込む保護者が描かれている。男性は「身内に夜の飲食店で働く女性がいるが、大変なストレスを受けている。金遣いが荒いなどと非難されるが、それだけ厳しい精神状態にある」と説明した。
 「沖縄は助け合いができるところだと思っていたから、まさか子どもたちが食べる物に困っているとは思わなかった。個人でできることは限られているが、何かしたい」と話す70代の女性もいた。同様の声は多く、県共同募金会と連携した「りゅうちゃん子どもの希望募金」設置につながった。
 一方、厳しい意見もあった。「日常的に小学生に接する立場にいる」という読者は、手紙で「真の原因は親の怠慢だと思う」と指摘。「『働かないのは恥ずかしい』『子どもを生んだら、衣食住を整え教育を与えるのは親の義務だ』という社会認識を定着させることしか解決の道はない」とつづった。「厳しい貧困の背景を知りたい」(70代・男性)という声もあった。(子どもの貧困取材班)