全市町村に無料塾 県、子の貧困解消へ計画素案


この記事を書いた人 田盛 良一

 県は8日、沖縄の子どもを取り巻く貧困状態の解消を目指す「県子どもの貧困対策推進計画(仮称)」の素案を発表した。実施期間は次年度から2021年度までの6年間。34項目の指標で数値目標を設定、生活保護世帯の子どもの高校中退率を3・7%から県平均並みに引き下げ、困窮世帯向けの無料塾など学習支援を32市町村から全41市町村に拡大することなどを盛り込んだ。計画最終年度は、全ての子どもが3食の食事を取って健全に成長できる環境を整え、中学・高校卒業時の進路未決定者やニートの減少を目指す。

 県が子どもの貧困に特化して計画を策定するのは初めて。8日、県庁で開かれた「県子どもの貧困対策推進会議」(議長・翁長雄志知事)で計画素案を了承した。県計画は乳幼児期から小中学生期、高校生期、高校生期以降の若者までそれぞれの年代(ライフステージ)に応じて「切れ目のない」支援メニューを設けた。
 県が独自に算出した県内の子どもの貧困率は29・9%で全国平均16・3%を大幅に上回り、深刻な実態が浮き彫りになっていた。ひとり親世帯の貧困率も58・9%で全国54・6%を上回っている。県の計画素案は、子どもの貧困を自己責任論ではなく社会の問題と捉え「県において克服すべき最重要課題」と明記。行政と支援団体、NPO団体、民間企業など幅広い層が協力して解決する必要があるとして、連携推進体制の構築も掲げた。
 数値目標は21年度までに、乳児全戸訪問事業の訪問率を83%から92%に伸ばすほか、就学援助制度を知らない貧困世帯をゼロに、子どもの貧困問題や不登校などに取り組むスクールソーシャルワーカーの配置人数や配置区域を順次拡大する。高校進学率を96・4%から98・5%に引き上げる。
 重要施策では、妊娠期から子育て期にわたる支援をワンストップで行う「子育て世代包括支援センター」の設置促進や、就学援助を利用しやすい環境づくりを促進。学校での少人数指導実施や学習支援員の確保、児童館などを活用した昼と夜の子どもの居場所づくり、医療費の窓口支払いが困難な家庭への対策などを盛り込んだ。
 県は9日から3月8日まで計画素案に対する県民の意見や要望を受け付ける。(子どもの貧困問題取材班)