海上の大型船移動 辺野古、ゲート前に300人


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米軍キャンプ・シュワブ前で抗議デモを繰り返す市民ら=11日午前、名護市辺野古

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設計画で11日、建設予定地に面した大浦湾の長島付近に停泊していた海底掘削調査のための大型クレーン船が、キャンプ・シュワブのビーチ沖に移動しているのが確認された。長島付近には掘削調査用のスパット台船も設置されているが掘削棒は確認されなかった。海上で抗議を続ける市民らは調査の終了とともに新たな作業が始まるとみて警戒している。

 この日は中南部の島ぐるみ会議のメンバーが結集する「木曜大行動」の日に当たり、シュワブのゲート前に約300人が結集した。普段座り込んでいる工事用ゲートを離れ、新ゲートと第2ゲートの二手に分かれてデモを展開した。基地内に出入りする車両の米兵にも建設反対を訴えた。午前11時現在、資材搬入は確認されていない。
 機動隊員に思いを訴える市民もいた。おととしから抗議行動に参加する新里春子さん(67)=読谷村=は隊員らに「沖縄戦では県民の4人に1人が亡くなったんだよ」と語り掛けた。沖縄戦で身重だった母やきょうだいがやんばるの森で恐怖と飢えの中、生き抜いたことや、戦後苦労を重ねたことなどに触れ「二度と戦争はしてはいけない」と強調した。
 隊員に直接訴えたことについて新里さんは「米国は自分勝手。日本政府は沖縄の声を聞かない。だから現場に来た若い機動隊員に沖縄の体験を伝える。物言わぬ民は滅びる」と語った。【琉球新報電子版】