貧困世帯の窓口負担ゼロ 県、子どもの医療費助成


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 県は2016年度から市町村と連携し、経済的困窮により子どもに対する医療費の支払いが困難な世帯を対象に、子の医療費の「貸付制度」を新たに始めることが11日までに分かった。貸し付けだが、市町村が充当し利用者の実質負担はない。県内初の制度で実施主体は市町村となる。16年秋から順次、導入を目指す。現行の助成制度では診察時に保護者がいったん立て替え払いしなければならず、立て替えが困難な保護者が一部いたために、子どもの受診控えが課題となっていた。新制度では医療窓口で立て替えずに済む。

 県は「子どもに受診を我慢させないでいいように、医療費の負担を軽減させたい」と導入の意義を話す。貸付制度は無利子で、利用対象は今後、各市町村が独自に定める。
 県が提案している貸付制度の仕組みは、利用を希望する保護者が市町村役場で資格証を受け取り、診察時に窓口で提示すると立て替えが猶予される。
 保護者は後日、市町村役場に請求書を提出し医療費相当分を借りて、医療機関に後払いする。
 市町村が貸し付けに充てるために拠出した医療費は「こども医療費助成制度」から充当されるため、実際上は保護者が返還する必要はない。
 現行の「こども医療費助成制度」は県と市町村が2分の1ずつ助成して、子どもの医療費の自己負担分を無料にしている。医療費の助成対象年齢は市町村によって異なる。
 「助成制度」は、少なくとも通院は就学前、入院は中学卒業まで、自己負担分の医療費が後日、県と市町村から助成されて無料になるが、診察時にいったんは保護者が立て替えて払わなければならない。
(高江洲洋子)