知事、和解前向き 工事停止が条件 代執行訴訟第4回弁論


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤
代執行訴訟の第4回口頭弁論終了後の会見で、「(裁判所に)暫定案について前向きに検討する旨回答した」と明らかにする翁長雄志知事(左から2人目)=15日午後6時35分すぎ、県庁

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐり、翁長雄志知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めて国土交通相が提起した代執行訴訟の第4回口頭弁論が15日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。前回弁論で裁判所が示した二つの和解案のうちの「暫定案」について、国が代執行訴訟を取り下げて埋め立て工事を停止した上で、新たに解決に向けて協議する内容であることを県側が初めて公表した。翁長知事は弁論後の会見で「(裁判所に)暫定案について前向きに検討する旨回答した」と明らかにした。

 工事停止が条件となっており、和解が成立すれば県が国を提訴した二つの訴訟に関しても「訴えの利益」がなくなり、終結する。県弁護団の竹下勇夫弁護士は「三つの裁判が暫定的に解決し、工事も止まるため、県としては傾聴に値する案だ」と述べた。承認取り消しの取り消しを求め、国が代執行に比べ強制力の低い「不作為の違法確認訴訟」などを提起した場合、判決には双方が応じるとの条件もあるという。県側によると、裁判所は弁論後の協議で「暫定案」の公表を認めた一方で、県が承認取り消しを撤回する代わりに、国側が新基地の使用期限を30年と定めることや、軍民共用化を米側と交渉することを提示した「根本案」の公表は認めなかった。
 弁論では翁長知事が本人尋問のため出廷し、過重な基地負担が形成されてきた歴史などを語り、国により基地建設が強行される現状に「国民としての自由と平等などがないがしろにされてきた」と強く反発し、あらためて辺野古に新基地を造らせないとの決意を見せた。裁判所には「勇気と誇りを持って生きるための慎重な判断をしてほしい」と訴えた。
 尋問は約2時間半におよび、県側・国側代理人がそれぞれ知事に質問する形で進められた。翁長知事は、承認取り消しの根拠となった前知事による承認の瑕疵(かし)を報告した第三者委員会について「公正中立で客観的だ」と述べ、新基地建設の公約実現のため恣意(しい)的に設置したものではないとの認識を示した。承認取り消しをめぐる訴訟で裁判所が示す判決には「行政の長としてしっかり受け止める」と述べ、従う姿勢を見せた。
 次回の口頭弁論は29日にあり、稲嶺進名護市長の証人尋問が行われる。代執行訴訟は同日に結審する。
英文へ→Governor Onaga optimistic about settlement involving temporary suspension of Henoko construction