ゆいまーるの心で支援 子ども食堂開設、南部で相次ぐ


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「子ども食堂の取り組みがいろいろな地域に広がってほしい」と語る砂川竜一さん(右)と津波古秀明さん=17日、南城市つきしろのつきしろキリスト教会

◆「おなかいっぱい食べて」 南城市の教会、困っている人広く歓迎

 【南城】南城市つきしろのつきしろキリスト教会で毎週月曜から金曜まで、近隣地域の経済的に困窮する家庭を支援しようと、無料で食事を提供する子ども食堂が開かれている。食堂を開設した同教会の牧師、砂川竜一さん(45)=団体職員=は「困ったときはお互いさま、ゆいまーるの心だ。食堂に来ることは恥ずかしいことではない」と、広く利用を呼び掛けている。子ども食堂の開設は市内では初めて。

 開設のきっかけは2015年10月、読谷村で母親が乳幼児と無理心中を図った事件に心を痛めたことだった。子どもの貧困の現状を伝える新聞報道にも背を押され、11月末に食堂を開設した。
 自身も母子家庭で育ち、貧しい幼少時代を送った。「ちゃんと両親がいても病気や失業で、すぐに貧困世帯になり得る。誰にでも起こり得る問題だ」と指摘する。
 食堂では息子の津波古秀明さん(16)=泊高1年=が調理を担当する。「恥ずかしがらずに堂々と来て、おなかいっぱいになってほしい。話し相手にもなってあげたい」とほほ笑む。メニューはポーク卵定食、ラーメン定食、冷やしそうめんをそろえる。
 食堂は午後5時から7時まで。子どもだけでなく、食事に困っている人なら誰でも利用可能。祝祭日は休み。問い合わせは砂川さん(電話)090(3796)7745。

「一度に50人は受け入れられる」と笑う金城米子さん(左から2人目)と神里千賀子さん(同3人目)ら=13日、糸満市阿波根のベタニヤゆいまーる教会

◆食材にも気配り 糸満市の教会、健全な成長願う

 【糸満】糸満市阿波根のベタニヤゆいまーる教会で13日、近隣地域の経済的に困窮する家庭を支援しようと、無料で食事を提供する子ども食堂の取り組みが始まった。給食がない毎週土、日曜、祝日に子どもたちを受け入れる。子ども食堂の開設は市内では初めて。
 発案したのは同教会の伝道師、金城米子さん(69)。土曜朝などに「何か食べさせてほしい」と教会を訪ねる人が多かったことから「ずっと食堂を開きたいという思いはあった」。神里千賀子さん(45)ら教会の仲間の賛同もあり、取り組みが始まった。金城さんは母子家庭で5人の子どもを育て上げた経験を持つ。「私も通ってきた道だから、大変さは分かる」と貧困世帯に共感を寄せる。
 13日のメニューはシチューにヨーグルト。「成長期の子どもたちにいい物を食べてもらおうと、食材にも気を付けている。育つ環境が違っても、みんなが優しい子に育ってほしい」と金城さん。神里さんも「子どもたちが伸び伸び楽しめる場所にしたい」と意欲を見せる。
 食堂は午後6時から8時まで。小学生から高校生までが対象だが、保護者同伴であれば未就学児も利用可能。問い合わせは同教会(電話)098(992)8881。