「島マス塾」、新年度廃止へ 自己財源確保が困難に


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【沖縄】戦後「福祉の母」として知られる島マスさん(1900~88年)を顕彰する事業の一環で建塾した島マス記念塾が2016年度から廃止されることになった。ただ17年度以降、建塾の理念をどう残し、何らかの形で再開することができるのか運営主体が検討する。沖縄市の補助金や受講料、自己財源で運営していたが「自己財源による収入が著しく減少し、運営費用を捻出することが困難になった」という。

 塾は1993年4月に建塾して以来23年間で404人が卒業した。福祉はもとより文化、歴史、産業、経済など多彩な学習機会を提供する全国でもまれな人材育成塾として知られ、98年には優良地域づくり団体として自治大臣賞も受賞した。設置主体は市社会福祉協議会で、島マス記念塾塾務会が運営にあたっていた。毎年約25人を募集して1年間の受講期間で地域の課題、まちづくりについて学ぶ。
 塾の年間予算は14年度でみると総額約397万円。内訳でみると、社協会費と赤い羽根募金配分金、歳末たすけあい募金配分金を合わせた自己財源だけで62%を占める。これに市補助金など(24・1%)、受講料(13%)が加わるが、自己財源部分の収入は低下の一途で、費用を工面するのが難しい状況となった。
 前年度は同記念塾の後援会から100万円の寄付があり、急場をしのいだ。設置主体の市社協事務局長の金城和彦さんは「次年度は予算のめどが立たず、背に腹は代えられぬ状況に至った。カリキュラムのグレードを下げての開塾など慎重に検討を進めてきたが、それでは記念塾の理念にもとる。NPOにやってもらうなど塾の理念をどう残していくか、いろいろあると思う。可能性を探っていきたい」と話している。