普天間返還は25年以降 米軍司令官、新基地完成「遅れる」明言


この記事を書いた人 志良堂 仁
ハリス米太平洋軍司令官

 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米太平洋軍のハリス司令官は23日の上院軍事委員会の公聴会で証言し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の完了時期について、当初よりも2年遅れて2025年になるとの見通しを明らかにした。在沖海兵隊8千~1万人のグアム、ハワイなどへの移転も同時期に実現すると指摘した。日米両政府が合意している嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画では普天間の返還時期を「22年度またはその後」としているが、辺野古移設が前提条件となっており、22年度の返還は困難との認識を示した。

 ハリス司令官は「代替施設の建設を完了させるのは日本の責任であり、義務だ」とあらためて強調した。その上で「現在、2年超遅れている。25年までに完了するとみている」と述べた。
 防衛省は2014年8月に辺野古の海底ボーリング調査を開始し、工事期間を9年と試算していた。
 海兵隊の配備計画をまとめた最新の「海兵隊航空計画」によると、21会計年度(20年10月~21年9月)に辺野古の代替施設で垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの機体整備用格納庫を建設するとしている。24年度には滑走路や駐機場などを整備し、25年9月までの会計年度で攻撃型ヘリコプターなどの格納庫を建設する工程が示されている。同計画はハリス氏の証言を裏付けているといえそうだ。
 在沖海兵隊のグアムなど国外移転については、普天間から代替施設への移転が開始される時期に実現するとの見通しを示した。
 仲井真弘多前知事は13年末に辺野古埋め立てを承認した際、グアム移転に伴い返還される浦添市の牧港補給地区の「7年以内」の全面返還を求めていたが、この要求も実現が難しくなった。
 ハリス司令官は、オバマ大統領が尖閣諸島は米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと明言したことについて「東シナ海情勢に前向きな影響を与えた」と述べた。
 また「米国は東京を守るのと同様に、尖閣も守るという明確なシグナルを送った」と述べ、海洋進出を強める中国をけん制した。