尚巴志の物語、母親ら読み聞かせ 南城で舞台披露


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
尚巴志を描いた朗読劇を演じる(左から)高江洲牧子さん、高宮城実人さん、当銘由亮さん、富田めぐみさん、與那嶺理香さん=21日、南城市佐敷の市文化センター・シュガーホール

 【南城】南城市内各小学校で読み聞かせに取り組む母親らが考案した、市佐敷の偉人・尚巴志を題材にした物語を披露する「尚巴志語り部2/3(3分の2)舞台披露会」が21日、市文化センター・シュガーホールで開かれた。尚巴志の偉業を描いた朗読劇を、物語考案の講師を務める富田めぐみさんらプロの演じ手がバイオリンや三線、太鼓の伴奏に合わせてユーモラスに演じた。

 三山統一を成し遂げたが、歴史的な資料が乏しい尚巴志を次世代に語り継ぎ、子どもたちに地域の歴史への関心を持たせようと、2014年度に始まった市尚巴志の語り部育成事業の一環。
 「2/3」は3年間の事業のうち2年間の途中経過を発表する意味。同事業では富田さんと歴史家の上里隆史さんを招いた講座が定期的に開かれ、読み聞かせ活動に取り組む母親らが、尚巴志をめぐる琉球史を学びながら物語を考案している。
 舞台披露会では富田さんと当銘由亮さん、高宮城実人さん、高江洲牧子さんが朗読、與那嶺理香さんがバイオリンを担当。石ころや石臼、宝石などさまざまな石の目線で、尚巴志が国王になるまでの過程を描いた、10の短編から成る物語を朗読した。講座の過程で派生した母親ら有志「尚巴志の語り部(ぶ)」も、自作の物語「アーマン」を読み聞かせた。
 富田さんは「母親たちは子どもたちに伝える技術を肌感覚で持ち合わせている。彼女たちが考案した物語だから意味がある」と語った。16年度は物語を群読劇に派生させ、市内各小学校で母親らや児童らが演じる予定だ。