県、和解根本案拒否へ 代執行訴訟 高裁結審 来月13日判決


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐり、翁長雄志知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めて国土交通相が提起した代執行訴訟の第5回口頭弁論が29日、福岡高裁那覇支部で開かれ、結審した。多見谷寿郎裁判長は判決日を4月13日に指定した。弁論後の和解協議では裁判所が示している「根本案」「暫定案」の二つの和解案について結論は出ず、県側は和解案のうち「根本案」には応じない方針を明らかにした。多見谷裁判長は協議で、修正した「暫定案」を新たに示した。

 弁論後の会見で県弁護団は裁判所から非公表を求められている和解案の「根本案」について「公表できないものは検討もできないので(受け入れは)実質的に不可能」と述べ、検討対象とならず、応じない意向を示した。「根本案」については、辺野古新基地完成後の30年後に返還したり、軍民共用にしたりする代わりに、翁長知事が承認取り消しを撤回する内容であることが判明している。
 「暫定案」は国が工事を停止して代執行訴訟を取り下げた上で、地方自治法に定められた代執行よりも強制力のない手続きで再度、県に是正を求めるなどの内容。裁判所から示された修正案は、是正を求める過程での具体的手順などを加えたもので、県は「前向きに検討する」としている。和解について、結論を出す期日などは指定されていないという。

名護市長「人権否定から解放を」

 弁論では稲嶺進名護市長が証人尋問のため出廷し、米軍機による騒音など、名護市内における基地被害の現状を証言した。辺野古への新基地建設は前市長や前知事が公約を破るなど、民意に背いた形で決定された経緯を説明した。
 辺野古に新基地が建設された場合、基地被害がさらに深刻となり、大浦湾の豊かな自然が破壊されるとの危機感を示した。過重な基地負担に「これ以上我慢できないというのが県民の思いだ。これまで70年間の沖縄の歴史、そしてそこで行われてきた人権をも否定するような状況から私たちを解放してほしい」と多見谷裁判長に訴えた。
 弁論の終結前には県・国双方とも、これまでの意見をまとめた最終意見陳述を行った。