「再び加害の島にするな」 石川文洋さん、不屈館3周年講演


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石川文洋さん(写真家)

 米統治に抵抗した政治家瀬長亀次郎さんの資料などを展示する那覇市の「不屈館」(内村千尋館長)が1日で設立3周年を迎えた。3周年企画として2日、報道写真家の石川文洋さんの講演と写真展があり、石川さんが従軍取材したベトナム戦争の写真を紹介しながら「命どぅ宝」の大切さを伝えた。館内は約120人であふれた。石川さんは、沖縄の米軍基地から飛び立った爆撃機や兵士がベトナム戦争で多くの民間人を殺害したことを説明し「沖縄は加害の島だった。また加害の島になってはいけない」と説いた。

来場者で満席になった会場=2日、那覇市若狭の不屈館

 母を亡くして悲しむ子ども、死体を見て笑う兵士、南ベトナムの兵士が北ベトナム人を拷問する様子などの写真も紹介し「ジャーナリストが最前線で長期取材できたのはベトナム戦争だけだが、どの戦争も実態は同じ。人間の気持ちをまひさせる。その前に止めないといけない」と主張した。
 枯れ葉剤の影響で、戦後生まれの祖父母を持つ「第4世代」にも先天性の障がいを抱えて生まれる子がいることも強調。「米国の重大な犯罪だ。平和に生きていくという子どもの権利を奪うのはいつも大人だ」と強く訴えた。
 また「米国では誰も戦争の責任を取っていないし、責任を追及する声も起こっていない。戦争の責任を追及する気持ちがないことが集団的自衛権にもつながっている」と話し、現在の安全保障環境を憂慮した。