マイナス金利「民需拡大に効果」 日銀副総裁、理解求める


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記者会見で金融経済懇談会でのやりとりや沖縄経済の印象を語る日本銀行の中曽宏副総裁(左)と蒲原為善那覇支店長=3日、那覇市のザ・ナハテラス

 日本銀行の中曽宏副総裁は3日、沖縄の金融機関や経済団体の代表者らと意見交換する金融経済懇談会を那覇市のザ・ナハテラスで開いた。中曽氏は日銀が導入したマイナス金利について「金融機関収益にマイナスの影響をもたらす面があることも事実だ」と理解を求めた上で、「政策の効果が表れれば設備投資や住宅投資などの民間需要が増加する。家計や企業にはかつてない緩和的な金融環境をとことん活用してもらいたい」と呼び掛けた。

 金融経済懇談会は、日銀の最高意思決定機関である政策委員会の委員が各地で金融政策運営に対する意見を聴取するもので、沖縄での開催は2014年以来。
 沖縄側からは浦崎唯昭副知事のほか、金城棟啓琉球銀行頭取、玉城義昭沖縄銀行頭取、上地英由海邦銀行頭取、上間義正コザ信用金庫理事長が参加。経済団体からも国場幸一県商工会議所連合会会長、金城克也県経営者協会副会長、津波古勝三県中小企業団体中央会会長、東良和沖縄経済同友会副代表幹事が出席した。
 懇談会後に会見した中曽氏は、マイナス金利政策に対し、貸出金利の低下や国債運用益の減少など金融機関の収益悪化を懸念する意見が上がったことを説明。「システム負担など実務面で追加的な対応を強いられるのかという心配の声であり、真摯(しんし)に聞いた。今回のマイナス金利の導入では金融仲介機能を阻害しない制度設計がなされており、デフレ克服のプロセスを加速することが結果的に金融機関の経営環境を好転させる近道にもなる」と述べた。
 また沖縄経済の現状について「公共投資が高水準に推移し、観光需要の増加が周辺にも波及している。所得から支出へという前向きの循環メカニズムが働いており、引き続き拡大する可能性が高い」と評価した。
 さらに中曽氏は「裏腹の問題とし人手不足への対応が最大の課題だ。観光業の一層の高付加価値化を推進していくことが必要になる」と潜在需要の掘り起こしや労働生産性の向上に期待した。