被災地寄り添って 浦添で3・11フォーラム 沖縄から支援継続を確認


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沖縄から被災地や避難者支援の在り方について議論した「フォーラム3・11 今できること」=5日午後、浦添市の国立劇場おきなわ

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で5年となるのを前に、被災地や県内避難者の支援の在り方を議論しようと「フォーラム3・11 今できること」(主催・琉球新報社、沖縄テレビ放送、ラジオ沖縄)が5日、浦添市の国立劇場おきなわ小劇場で開催された。約120人が来場し、震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島3県からの登壇者の現状報告に聞き入った。震災の記憶を継承しつつ被災地や避難者に寄り添いながら沖縄から支援を継続していくことの大切さを確認し合った。

 登壇したのは寺島英弥氏(河北新報社編集委員)、蟻塚亮二氏(精神科医・福島県)、高橋晃氏(建設会社役員・岩手県)、里見喜生氏(NPO法人「ふよう土2100」理事長・福島県)、桜井野亜氏(「福島避難者のつどい 沖縄じゃんがら会」会長)の5人。
 寺島氏は「記者やその家族の安否も分からないまま取材を始めた」と当時の状況を報告。「『風評』の問題が復興を阻んでいるが、そこで生きようとする人たちが未来に向け自ら開拓していく時期に来ている」と力を込めた。
 蟻塚氏は「震災や原発事故は地域や職場などの対人関係を破壊した。事故による移住は日本の難民問題だ」と指摘。「心の傷は回復していない。福島はもっと悲しんでいいと寄り添うことが大切だ」と語った。
 読谷村出身で、岩手県宮古市で復興に奔走する高橋氏は「復興に向けた民間の工事はいわゆる3K(きつい、汚い、危険)で労働者がなかなか集まらない」と直面する難題を報告した。
 福島県で被災者支援に取り組む里見氏は「課題が多過ぎて、NPOのリーダーたちに疲れが出ている」と報告。「『風評』と『風化』という二つの風に立ち向かうために自分の目で見てほしい」と述べ、沖縄から被災地を訪れることを望んだ。
 桜井氏は「住宅支援など公的支援が縮小する中、避難者に生活の不安が出ている。寄り添って話を聞いたり、仕事の情報を提供したりしてほしい」と求めた。