日本縦断、伊江にゴール 民泊が縁、自転車で9ヵ月の旅


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「無事に帰る」に掛けて、お守り代わりに母が持たせてくれたカエルのももちゃんと旅をする佐藤康祐さん(左)と貴島リリさん=2月26日、伊江港

 【伊江】「ただいまー。夢がかなった」。北海道函館市出身の佐藤康祐さん(19)は、修学旅行の民家体験泊で訪れた伊江島をゴールと決め、「日本縦断自転車の旅」を実現した。昨年の5月20日に稚内を出発。日本列島を南下して2月25日、伊江島に到着した。当時の受け入れ民家である貴島リリさん宅を訪ねて「夢を実現した」と報告。2年ぶりの再会を喜び合った。

 貴島さん宅の玄関先でチャイムを鳴らした佐藤さん。連絡もせずに突然の訪問。貴島さんは驚くばかり。しかし、当時、夢を語る佐藤さんが思い出され、「お帰り」と出迎えた。
 佐藤さんが初めて伊江島を訪れたのは高校2年の修学旅行。貴島さん宅で宿泊した際、「自転車で日本一周の夢」を語っていた。貴島さん自身も旅好きで、宮崎県を除いて全国を旅したことなどの会話を交わしていた。その時、佐藤さんは「ゴールは伊江島」と決めていたという。
 佐藤さんは日帰りの予定で来島したが、貴島さん宅で夜を明かした。旅の途中、足を痛めた際に見ず知らずの人が車で次の目的地まで送ってくれたエピソードなど、約9カ月間の旅の話に花を咲かせた。当時貴島さん宅に宿泊した高校時代のメンバーにも連絡し、話は尽きなかった。
 佐藤さんは昨年3月、高校を卒業。その2カ月後の5月、函館より北の稚内を出発地点に、日本海側と太平洋側をジグザグに横断。各地にいる友人宅を訪ね、東京では祖父に顔を見せた。
 台風の影響で立ち寄れなかった栃木県と茨城県を目指して全国制覇の旅を続ける。
 旅で得たものは「人とのつながり」。「伊江島は第二の故郷」と話す佐藤さん。
 貴島さんは「ゴールは函館のご両親に顔を見せた時よ。次は北海道に行くわ」と約束し、旅の無事を祈り、新たなる出発を見送った。
(中川廣江通信員)