【アメリカ】子や孫、総勢12人にぎやかに


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夫カールさん(前から2列4人目)、2人の娘家族に囲まれる里子・コートランドさん(同3人目)=2015年12月26日、オハイオ州コロンブス

 米オハイオ州のコロンブスに住む里子・コートランドさん(68)=旧姓染井、北大東島出身=と夫のカールさんは、北谷町桑江の陸軍病院で働いていた時に知り合い結婚。渡米後、3歳違いの2人の娘に恵まれた。貿易会社に勤めたカールさんは日本への出張が多く、子育ては専ら里子さんの役目だった。

 厳しく育てた娘らは成績優秀で同じ大学でビジネスを専攻、就職で州外に出て行った。娘らは間もなく、それぞれ同じ大学出身の男性と結婚して再びオハイオ州へ戻り、同じ住宅街の7軒隣に住み始めた。「お互いに支え合っている娘夫婦の仲の良さを見ると心が和む」と里子さん。
 そんな折、フロリダ州の夫の両親が認知症を患った。里子さんは80歳の義父母を気遣い、長男のカールさんに「長男のあなたが親を見るのは当然。日本式に両親を引き取って一緒に暮らしたい」と提案した。日本文化を熟知していた夫も賛成し自分の家に引き取り、2人で最後まで義父母の面倒を見た。
 長女クリシーさんには2人の男の子が生まれたが、次女アニーさんは子宝に恵まれずにいた。クリシーさんは妹のために代理出産を決意し、アニーさんと共に体外受精に臨んだ。
 妊娠成功率は高くはない。家族はどちらかに命が授かればいいと願っていた。すると奇跡が起こり、2人とも妊娠し、それぞれに双子が誕生した。
 里子さんは退職時期を早めて夫と次女の家に移り、“四つ子”の世話を始めた。その後、長女と次女の家の間にある家が売りに出され、里子さんらはその家をついのすみかとして買った。
 沖縄民謡が大好きな里子さんは、孫たちに手作りのパーランクーとばちを持たせエイサーを一緒に踊ったり、テレビの子ども番組を見せたりして日本、沖縄文化に触れさせている。
 「娘たちの卒業式、結婚式のたびに故郷の母を招待してくれた優しい夫と共に家族総勢12人が何かにつけ集まり、にぎやかな時を過ごしている」と話す里子さんの明るい声には幸福感が満ちあふれていた。(鈴木多美子通信員)