日台漁業協定、日本側に成果なく 県内漁業者ら落胆


この記事を書いた人 志良堂 仁
日台漁業協定に伴う2016年の操業ルール策定する会合に臨む政府や県内漁業関係者ら=2日、台北市内

 日台漁業取り決め(協定)に伴う、2016年のクロマグロ漁期(4~7月期)の操業ルールが、15年ルールを踏襲することに決まった。2~4日台北市内で開かれていた会合は、大部分が台湾が主張する漁具流出時の連絡体制や回収方法などで占められた。台湾に押される形で会合が進み、日本側は成果を得られず終了した。県内漁業者から「全く駄目だ」と今回の結果に落胆が広がっている。

 「漁具を流出しないための対策を説明してもらいたい」。日本は事前会合で台湾に漁具流出対策の具体例提示を指摘した。しかし、最終的な会合でも台湾からしっかりとした説明は得られなかった。
 さらに、県内漁業者が望んだ八重山北側の三角水域一部の昼夜交代操業水域の拡大は、十分な議論ができなかった。県漁業協同組合連合会の上原亀一会長は「日本側が拡大したい理由を説明する前に、台湾側が主張を始めそれに答える形になった」と説明する。日本が拡大を求めた一方、台湾は昼夜操業できる水域の縮小を求め、双方の主張はかみ合わず十分な議論がなされないまま来年に繰り越された。
 日台は、17年度の八重山北側の三角水域操業ルール策定に向け、新たに委員会を設置し、建設的な議論を図ることを確認した。しかし、県近海鮪漁協の我如古清組合長は「また同じ主張の繰り返しだ」といらだちを見せた。
 協定適用水域は、国際法上で決められた日本のEEZ内にある。しかし、台湾はその一部を「台湾のEEZだ」と主張し一歩も譲らない。
 我如古氏は「台湾との交渉に臨む交渉術を研究し、日本に有利な操業ルールを長期的に勝ち取っていくしかない」と語った。
英文へ→Disappointment in Okinawa after unsuccessful Taiwan-Japan fishery talks