脂肪由来幹細胞で再生医療 琉大国内初、顔面変形患者に移植


この記事を書いた人 金城 美智子
脂肪組織由来の幹細胞を用い顔面変形手術に成功したことを発表する琉球大学医学部付属病院形成外科特命教授の清水雄介医学博士(中央)ら=9日、西原町の琉球大学医学部

 琉球大学医学部は9日、脂肪組織由来の幹細胞を使った再生医療の臨床研究を開始したと発表した。頬がへこんだ男性患者の腹部の脂肪から幹細胞を採取して培養し、顔に移植する手術を2日に行い、無事成功させた。培養した脂肪組織由来幹細胞を顔面変形の患者に移植したのは国内で初めて。琉球大学医学部付属病院形成外科特命教授の清水雄介医学博士が治療を担当した。

 2016年度中に同様の技術で顔や足など3例の再生治療を実施し、技術を確立する予定。17年度は他人の幹細胞を用いた治療の準備を進め、将来的には肝硬変や心筋梗塞などに応用することを考えているという。
 患者は70代の男性で、上顎洞がん手術に伴い、頬がへこんでいた。ことし1月に腹部の脂肪から幹細胞を採取して培養。3月2日、培養した幹細胞と腹部から採取した脂肪を混ぜて顔面のへこんだ部分に注射した。男性は5日に退院し、術後の経過は良好という。
 琉球大医学部は再生医療研究センターを昨年6月に開所し、ロート製薬と共同で幹細胞を用いた再生医療の研究に取り組んでいた。【琉球新報電子版】