CO2溶解海水で海藻培養 成長速度4・6倍 沖縄ガス・糸満市・琉大共同研究


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 糸満市浄化センターで汚泥処理する際に発生するバイオガスを代替エネルギーとして有効活用する実証実験に取り組む沖縄ガスと糸満市、琉球大学が成果を上げている。琉大工学部の瀬名波出准教授の実験で、バイオガスに含まれる二酸化炭素を抽出し、海水と混ぜ合わせてつくった「CO2溶解海水」を、海藻の生育に活用したところ、成長速度が飛躍的に向上し、従来に比べ最大で4・6倍の成長速度が確認された。

 海藻は高級魚の餌となることから、糸満市などはCO2溶解海水による海藻培養を通じて、新たな産業の創出を図る考え。瀬名波出准教授は「CO2溶解海水を利用することで、海藻の光合成を活発化させ、小さな水槽でも多くの海藻の生育が可能となる」と話した。
 浄化センターから出たバイオガスは、隣接する青い海のボイラー燃料として利用されている。沖縄ガスによると、実験でCO2を取り除いたバイオガス(メタンガス)のメタン濃度を測ったところ95%と検出された。この濃度は都市ガスとほぼ同じ水準で、今後、ボイラー燃料以外で利用できる可能性もあるという。沖縄ガスなどは、実証実験を通じて、これまで焼却処分されていたバイオガスを無駄なく使うことで、循環型社会の構築を目指している。
 沖縄ガスによると、2014年に糸満市浄化センターから排出されたバイオガスは42万7061立方メートルで、うち、29万1826立方メートルをボイラー燃料として再利用した。利用率は68%だが、工場が稼働しない日を除くと利用率は90%となった。CO2削減は447トンで、例年の約10%のCO2を削減した。
(吉田健一)

「CO2溶解海水」による海藻培養の実験に取り組む琉大の瀬名波出准教授=17日、糸満市の青い海
「CO2溶解海水」を使って培養した海藻(左)と普通の海水で培養した海藻。いずれも生育10日目(瀬名波出准教授提供)