中村超硬、うるまにダイヤモンドワイヤ工場 アジアにらみ生産拡大へ


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ダイヤモンドワイヤ製造で12月稼働を予定する沖縄工場の概要を説明する中村超硬の井上誠社長=22日、県庁記者会見室

 ダイヤモンドワイヤ製造で世界的なシェアを伸ばす中村超硬(本社・大阪府堺市)の井上誠社長が22日、県庁で記者会見し、うるま市の国際物流拠点産業集積地域の賃貸工場に新工場を開設することを発表した。ダイヤモンドワイヤは、太陽電池向けのシリコン製品を製造する際に必要な糸状の切断工具。アジア市場に近い沖縄工場で生産を拡大させることで、太陽電池の普及を進める中国を中心に海上輸出体制を構築していく。

 2段階で設備投資を進め、第1期として12月稼働を目指して18億円を投じて機械設備を導入する。工場の管理や技術者として第1期で50~60人程度、最終的に約100人の雇用を計画している。沖縄工場の開設公表に合わせ、18日から公募増資を開始した。
 同社は大阪府和泉市にダイヤモンドワイヤを製造する2工場があり、15年の売り上げは約45億円。沖縄工場の稼働によって生産能力40%増を計画する。
 現在、製品は関西空港から航空機で中国に輸出しているが、沖縄で生産を拡大することで海上輸送体制に切り替える。井上社長は「沖縄の地理的な位置はアジアに向けたハブになる。世界最先端で最大の製造拠点として沖縄工場を発展させたい」と語った。
 ダイヤモンドワイヤは、太さ80ミクロンのピアノ線にダイヤモンド粒子を埋め込み、メッキで固定させることで製造する。シリコンの塊を極細の板に切断する際に用いられるが、高コストが課題だった。中村超硬は複数のワイヤを一度に製造する独自の高速技術によって製品の低価格化を実現し、販売を伸ばしている。