緊急条項の乱用懸念 憲法普及協 高良教授ら講演


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
    高良鉄美氏

 県憲法普及協議会(会長・高良鉄美琉球大法科大学院教授)の第39回総会・記念講演会が23日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるであり、約50人が参加した。自民党が憲法改正の優先事項に掲げる「緊急事態条項」新設について高良会長と弁護士の加藤裕事務局長が講演し、必要性の乏しさやその危険性を指摘した。

 高良氏は緊急事態条項で憲法の三大原則である国民主権、平和主義、基本的人権の尊重が制限されると指摘。ワイマール憲法に規定のあった大統領の国家緊急権を利用し、ナチスが権力を掌握していった歴史を踏まえ「憲法に規定されると憲法に縛られない権力が発生し、政権に乱用される危険性が高い」と述べた。
 加藤氏は、大規模災害時には個別具体的な状況において、行政に一定程度の権限が集中する法制度が既に整備されていると説明。武力攻撃に対しても有事法制で対応できるとし、緊急事態条項の必要性を否定した。