本年度の遺骨収集断念 県遺族連合会 高齢化で場所限られ


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 県遺族連合会(宮城篤正会長)は25日までに、毎年度実施する遺骨収集作業について、2015年度は実施しないことを決めた。連合会は近年、海岸線など足回りが比較的安全な場所で収骨に取り組んでいた。一方、本年度は収骨の候補地を見つけられなかったことから、休止する。1961年ごろの開始以来、初めての休止となる。

 県内の未収骨は約3千柱分に上るともみられている。現在遺骨が見つかっている場所は自然壕(ガマ)や崖下など足場が悪いことが多く、高齢化の進んだ遺族にとっては、立ち入って収骨することが難しいという事情がある。
 宮城会長(74)は「最後の一柱まで収集する気持ちは変わらないだけに、今回の休止は断腸の思いだ。高齢化した遺族でも収骨できる場所の情報を得たら、すぐに実施したい」と語った。
 近年、会主催の遺骨収集作業は毎年2月に実施していた。県外の遺族会関係者も含め、150人ほどが参加した。沖縄本島南部の立ち入りやすい海岸線などでは、遺骨収集作業を一通り終えたという。
 本年度も収骨作業を実施する計画だったが、安全性を確保できる場所が見つからなかったため、3日の理事会で休止を決めた。
 宮城会長は「戦没者の末子の年齢は最も若くて70歳だ。全国的に遺族の平均年齢も75歳前後。若ければどこにでも入り込み収骨したいが、そうもいかない。遺骨収集は会の大きな事業で継続したい。休止は苦渋の決断だ」と話した。