伝統の味“チーイリチャー” 世界72ヵ国に紹介


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チーイリチャーを食べながらカメラの前で紹介するアンドリュー・ジマーンさん=金武町の久松食堂

 【金武】日本を含む世界72カ国で放送される米国発の番組「ビザーレ・フーズ」が18日、金武町の久松食堂で沖縄の伝統料理「チーイリチャー」を取材した。番組は世界中を旅しながら、アメリカ人の感覚では物珍しいとされる現地の料理を紹介するもので、10年間続いている。収録を終えたリポーターのアンドリュー・ジマーンさんは「動物の血を使った料理は世界中どこにでもあるが、沖縄のものは特別においしい」とスプーンを口に運ぶ手が止まらなかった。

 チーイリチャーは豚肉や野菜を豚の血で炒め煮た料理。金武町は県内でもチーイリチャーの消費量が多く、同町金武区と並里区を通る国道329号では、約1・5キロの間にチーイリチャーを提供する店が少なくとも5軒ある。
 収録では、久松食堂の宜野智代表(53)がチーイリチャーを運んでくると、ジマーンさんは豚の血の煮込み料理であることや、ニンニクの香りが効いていることをカメラを前に説明した。沖縄には日本本土とは違った食文化があること、金武町には米軍基地があり米国人が多くいることにも触れていた。
 一行は3泊4日で県内各地を取材。他にも豆腐ようやイラブー(エラブウミヘビ)を紹介するという。
 宜野代表は「チーイリチャーの知名度が上がって、多くの人に食べてもらえたら」と話した。(長浜良起)

沖縄そばの麺にチーイリチャーを乗せた「チースパ」

◆まかないから新料理 新たな魅力を提供
 久松食堂では、チーイリチャーを沖縄そばの麺に絡めた「チースパ」でチーイリチャーの新たな魅力を提供している。もともとは店員がまかないとして食べていたが、約3年前にテレビで紹介されて以来徐々に「裏メニュー」として浸透。昨年4月に正式メニューに“昇格”した。
 チーズがかかっているのが特徴で、店員の渡嘉敷舞さん(23)は「思ったよりチーズとの相性がいいとのことで、リピーターは多い」と話す。宜野智代表(53)は「チーイリチャーは何にでも合う。おにぎりの具にする人もいる。この前もナン(平たいパンの一種)と食べたけど、おいしかった」と、新メニューの構想を続けている。