「平和のうた」等身大の言葉で 学生、俳句に思い込め


社会
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俳句集団アラカルトのメンバーら。左から金城果音さん、安里琉太さん、伊波信之祐さん、山本夏希さん、上谷佑梨子さん=2月21日、那覇市内の公民館

 琉球大学の学生を中心に7人でつくる俳句集団アラカルトのメンバーは、本紙「平和のうた」への応募などを通して“自分たちの言葉”で「平和」を表す句を模索している。メンバーの安里琉太(本名・恒佑)さん(21)=琉球大4年=は「僕らは戦争を題材にした句をほとんど詠まない。だから上の世代には平和への意識がないと思われがちだが、地に足が着いたところから詠んでいきたい」と強い意欲を語る。戦争経験のない「私ら」の句が果たして伝わるか-。感性を研ぎ澄まし、悩みながら「自分の言葉」を紡いでいる。

 大学生による俳句活動の場をつくろうとアラカルトは4年前に結成された。2月21日、那覇市内の公民館で初のトークイベントを開催。この場で、平和や戦争、震災を題材に俳句を詠むことの難しさについても議論になった。
 伊波信之祐さん(23)=琉球大4年=が首里高校時代、俳句甲子園で準優勝した時に詠んだ句が取り上げられた。

 「白地図に国境引くや沖縄忌」

 山本夏希さん(21)=琉球大2年=はこの句を「戦争反対を直接言わずに、沖縄の心に触れる大きな句だ。作品として成立するまで高めた沖縄の句を詠むのは難しい」と評した。一方で戦争をネタにすることへの違和感も示した。金城果音さん(17)=浦添高校2年=は「戦争や震災を実際に体験した人に失礼にならないか気になる」と言う。これに伊波さんは「ネタがあって初めて作品ができる。俳句に権威をもたせすぎるのはよくない。大いにネタを使って読者、後世の人々に判断してもらおう」と語った。
 「平和のうた」では日常の営みや風景がつづられた。「具体的な平和が分からず、平和な雰囲気だけがほのかに光った」という安里さんは「春の雲いつより尻の土のあと」と詠んだ。空と桜の対照的な色を想像した金城さん。「青空にひしめきあふや八重桜」
 山本さんの作品は「よき畑の歩み音なく蝌蚪(かと)の水」。「失いたくない平和そのもの」として「満ち満ちとした生に自分が静かに存在する句」を表した。福村みなみさん(20)=沖縄国際大1年、俳号・ふくみ、玉城涼さん(20)=筑波大2年=も投句した。(新垣毅)